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はじめに 

田村善次郎

 
 

 『宮本常一 農漁村調査ノート』の第16冊目にあたる本書は昭和26

(1951)年3月3日から9日まで行った播磨漁村水産資料調査ノートを翻

刻したものである。昭和24年に日本常民文化研究所が水産庁から「漁業制

度資料調査保存」についての委託をうけ、宮本先生はその調査員として、

瀬戸内海を中心に昭和24年暮れから歩き始める。今回翻刻した播磨漁村調

査ノートもその一部である。 

 宮本先生は、昭和24年10月に日本常民文化研究所が水産庁の委託を受

けることになったのを機に研究所に復帰したことになるが、それによって、

東京に本拠を移し、大島を引きあげてしまったわけではないようである。

かなり頻繁に、大島に帰っているし、また大阪府との関係も嘱託であった

かどうかはともかくとして、続いている。播磨漁村の調査は大阪府下の農

村指導を終えた後におこなっている。大阪滞在中は鳳の姉ユキさんの家を

拠点にしていたし、知人宅にとまることも多かった。駒ヶ林を訪ねた3月

3日は玉出の沢田四郎作氏宅から出かけており、その日は鳳にかえり、4

日の日曜日は手紙書きなどで過ごしている。調査ノートは使用済み400字

詰め原稿用紙半截の手製のもので、縦書きで書かれている。 

 以下の記述は日記(『宮本常一 写真・日記集成 別巻』)から播磨漁

村調査関係部分を抜書したものである。 

 

昭和26年(1951)3月3日(土) 玉出─神戸(県庁)─駒ヶ林町─鳳 

 昼まえ、沢田先生の宅を出かける。それより兵庫県庁にゆき、本間氏よ

り紹介状をもらい、駒林にゆく。山畑氏宅の古文書見たいと思うが、当主

七之助氏、病。止むを得ず。鳳にかえる。 

 

昭和26年3月5日(月) 鳳─明石─東二見 

 東二見。小林金三郎氏、大西秀市の世話にて漁村調査。中村安松氏宅に