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第一章
波瀾重なる戦い前夜
─
海防から幕府との対決へ
外夷から国を守る
幕
末
は
黒
船
に
始
ま
る。
黒
船
来
航
は、
産
業
革
命
を
終
え、
資
本
主
義
経
済
の
法
則
で
動
く
諸
国
と
鎖
国
日
本
と
の
正
面
衝
突
で
あ
る。
力
を
背
景
に
利
と
宗
教
で
押
し
寄
せ
る
西
洋
列
強
を
防
ぎ
得
た
国
は、
ほ
と
ん
ど
な
い。
国
難
で
あ
る。
皇
国
日
本
の
外
夷
に
対
応
す
る
進
路
の
在
り
方
で、
長
州
は
幕
府
と
対
立
し
た。
吉
田
松
陰
も「
草
そ
う
も
う
く
っ
き
莽
崛
起
」
と、
国
難
の
克
服
に
新しい力を熱望する。
「
独立不覊三千年来の大日本、
一朝人の覊縛
(束縛)
を受くること、
血性あるもの視るに及ぶべけんや。
那
ナ
ポ
波
列
レ
オ
ン
翁
を起こしてフレーヘード
(自由)
を唱えねば腹悶
醫
いや
し難し。
草
そ
う
も
う
く
っ
き
莽崛起
の人を望む外、頼みなし。
」
黒
船
来
航
か
ら
数
年
後
の
万
延
元
年
(
一
八
六
〇
)
及
び
そ
の
翌
年
に
伊
予
の
興
居
島
や
三
津
浜
に
も
不
意
に
外
国
船
が
来
て、
松
山
藩
も、
財
政
難
を
押
し
て
農
商
兵
を
編
成
し
な
け
れ
ば
な
ら
な
か
っ
た。
文
久
元
年
(
一
八
六
一
)
に
は
ロ
シ
ア
が
対
馬
の
占
領
を
企
図
し、
上
陸
し
て
木
を
伐
採
し、
兵
舎
を
無
断
で
建
て
た
り
す
る
事
件
も
起
き
て
い
る。
た
と
え
ば、
大
島
郡
小
松
開作に外国船が来る可能性もあるわけで、日本は海防の緊迫感に包まれた情勢にある。
文
久
三
年、
攘
夷
を
決
定
し
た
長
州
藩
が
出
し
た
海
岸
警
備
の
指
令
の「
覚
え
」
書
き
が、
小
松
の
近
藤
家
の
八
月
八
日
付